2023年の車選びは「乗らなきゃわからない」
車が好きな人にとって、色々な車を見たり、レビュー記事を読んだりして、どれにしようかと考えるのは楽しい時間ですね。
デザインや大きさ、先進機能など、メーカーや車種などを比較してあれこれ想像している時間は、実際に乗っている時間よりもワクワクするものです。
でも、カタログスペックや画像、動画ではわからないこともたくさんあります。
例えば、シートの座り心地、ハンドルの切れかたや重さ、加減速の感覚、振動やロードノイズなどは、実際に運転してみないと分かりません。
気になる車には実際に乗ってみて、体感してみることが失敗のない車選びには重要なことです。
今回は、仕事用の車が故障して、修理中に借りた「 NOTE e-POWER」についてレビューします。
約1週間のうちに500kmほど、一般道と高速道路を運転してみた感想となります。
仕事柄、移動だけでなく、パソコン作業をしたり車内で過ごす時間が多いので、細かい部分の使い勝手も含めた内容になります。
今、NOTE e-POWERを検討している人の参考になれば幸いです。
NOTE e-POWERは想像を超える走りの良さだった
はじめに結論ですが、NOTE e-POWERは僕の想像のはるか上をいく、走りの良さと、完成度でした。
たまたまお借りしたレンタカーは、走行85km程度の新車、タイヤも新品状態なので、一番良い状態だったこともありますが、正直驚きました。
はじめのイメージは、NOTEの車格と、購入層などから想像していたのは、走りの良さよりも、街乗りの利便性と、安全性能に振った設計だろう、というイメージでした。
実際に乗ってみた印象は、一般道の常用域での高い走行性能と、静粛性、過不足のない機能というものでした。
今回乗った車種「 NOTE e-POWER X」
今回お借りした車種はNOTEのベースグレードである「X」になります。
NOTE e-POWERという車の特徴は、電気自動車に限りなく近いハイブリッドカーという駆動方法です。
ガソリンエンジンは発電でしか使用せず、発電した電力でタイヤを駆動するモーターを回します。
エンジンは発電でしか使わないというところが斬新ですね。
純粋な電気自動車では充電が必須ですが、NOTEの燃料はガソリンのため充電待ち時間のようなものはありません。
メーカーサイトなどでは、「エンジンを発電にのみ使用し、タイヤ駆動から開放したことで、効率よく発電できるため、高い燃費性能を実現する」とされています。
装備はベースグレードとはいえ、一昔前のプリウスになれた身からすれば至れり尽くせりといった印象でした。
後段で詳しく紹介しますが、360度カバーするカメラやセンサー、液晶バックモニター、ドライブレコーダーなど、ドライバーをサポートする装備はしっかりと備えられています。
NOTE の実車インプレッション
ボディ外装
良い意味で普通というのが正直な印象。
近年の複雑な曲線を多用したデザインがあまり好きではないので、NOTEの塊感のあるシンプルなデザインは好感が持てます。
特にボンネットからフロントグリルにかけてのボリューム感のあるデザインは、NOTEのイメージを形作るものだと思います。
乗り降りのしやすさ
ドアや開口部はコンパクトカーという車格なりの大きさです。
身長178cmの中肉中背の男性にとっては、広いとはいえませんが、窮屈ということもありません。
座面の位置は低すぎず、体を持ち上げるようにして降りるということもありません。
身長155cmくらいの女性からは、乗り降りがしやすいとの感想が聞かれました。
内装
内装は、使われている材質や質感は車格相応ですが、デザインの工夫で高級感を演出しているように感じました。
運転席と助手席は間にあるシフトレバーやドリンクホルダーなどで分割されています。
上段と下段に分かれており、下段はティッシュ箱などが置けるようにフラットになっています。
物入れは小さめで、座席の大きさや機能性を重視した結果ともいえるでしょう。
ドリンクホルダーは運転席・助手席用にそれぞれ2つあります。
場所はダッシュボードのドアに近い位置に一つと、ドアポケットに一つで実用上は過不足ありません。
エアコン操作部は、コンパクトでシンプルですがフルオートエアコンで、表示パネル、スイッチは機能的で好感が持てる作りです。
運転席周り
インパネは液晶パネルがメインに据えられ、スピードメーター、燃料計は液晶、車両インフォメーションの割合も大きくとられています。
ナビの画面は非常に大きく、操作ボタンも大きく使いやすいです。
バックモニターとしても機能するので画面が大きいのは見やすくていいですね。
ナビの機能は、直感で操作できて、ほとんど迷わずに目的の操作が可能です。
運転席のパネルからナビ画面まで継ぎ目のない曲線になっていて、スッキリとしたデザインになっています。
別売りのナビに交換して楽しむなどというのは、もう過去のものなのだと実感させられます。
ハンドルは、このグレードは樹脂素材で細めな印象です。
ハンドルのチルトや前後の調整は、可動域はそれほど大きくありませんが、必要十分といえます。
ペダルは足元のスペースに合わせて、シートに座って足を伸ばすと若干左に寄った配置になっている印象。
ブレーキは、アクセルの位置と比較して、ややシート側にせり出ているように感じます。
大抵の車種でこのような配置になっていますが、プリウスと比べるとNOTEは若干大きいかな、という感じがします。
運転していて問題があるかといわれれば、気にならないような違いです。
ウインカーなどのスイッチ類は適度なクリック感と固さで、日本車の丁寧な作りを感じます。
シート
常に体が触れているシートは、僕が車を評価するときに重視するポイントの一つです。
NOTEのシートは、良くも悪くも車格なりの大きさと質感です。
コンパクトカーですので、スペースも限られるので包み込まれるような大きさではありませんが、腰回りを支えるクッションは固めでしっかりしているので長時間の運転でも疲れにくいという印象です。
NOTE を約500km運転してみた感想
全体的な走りの印象
実際に走ってみて最初に感じたのは、とてもスムーズで運転者の意のままに動かすことができるというもの。
特に、ストップ状態から60km程度までの加速は滑らかで、出したいスピードまで、強すぎる加速感やもたつきなく到達します。
都市部などでよくある、渋滞に近い状況で10km程度で進んでいくときにもギクシャクせず、そこからの加速もスムーズです。
前車への追従性もよく、市街地での走行は非常に快適です。
反面、高速道路での走行では、足回りの柔らかさや、モーターの特性からか、100km/hを超えるあたりから少し不安を感じることがありました。
また、追い越し時に一時的に100km/hを超えるような加速では、反応と加速の鈍さを感じることもありました。
80〜100km/h程度で巡航している分には快適に移動ができます。
これらのことから僕のNOTE e-POWERの印象は、街乗りであれば乗り味やサイズからくる取り回しの良さなど、かなり良いクルマというものです。
ハンドリング
カタログや映像ではわからないことの一つがハンドルの操舵感です。
運転して実際に操作してみないとハンドリングのフィーリングは分からないでしょう。
NOTEのハンドルは見た目は華奢ですが、手を置いたときには適度な重さがあります。
走り出してハンドルを切ると、曲がりたい分だけ適切にタイヤの角度が変わるのを感じます。
電動パワーステアリングは存在を感じさせないほど自然で、まるでハンドルとタイヤが直接接続されているのではないかと思うほど忠実に曲がります。
低速時、高速時でハンドリングの感覚が少し変わりますが、いずれも自然な挙動でまったくストレスを感じません。
このあたりのチューニングはさすが日産という印象です。
足回り
足回りは柔らかめです。
非常にしなやかに動き、路面の継ぎ目や多少の荒れはしっかりと吸収してくれます。
コーナーに少し速い速度で入ったときには、ある程度サスペンションが踏ん張ってくれるので不安は感じなかったのですが、スポーツ走行ができるような足回りではないと思います。(車のコンセプトを考えればあたりまえですね)
ロードノイズも少なめのチューニングで、街乗りにはぴったりの足回りです。
ブレーキ
普段仕事で古いプリウスを乗っている身からすれば、NOTEの回生ブレーキの動作は非常にスムーズで違和感を感じない仕上がりです。
ペダルの遊びもあって、ブレーキの効きはじめもカックンとなることなくスムーズです。
また、走行モードをecoにしたときのワンペダル・ドライビングは慣れると市街地走行がとても快適になります。
アクセル
モーター駆動の特性なのか出足が非常に良いです。
0-60km程度までの実用域の加速はスムーズで力強く、他の車に置いていかれることはありません。
むしろ、走り出して気がつくと他の車がずっと後ろにいることもしばしばでした。
全体の印象でも書いたとおり、低速走行でギクシャクすることがなく、渋滞時などでもストレスがありません。
メーカーサイトなどでは、次のような記述がよく見られます。
「ノートe-POWERの力強くスムーズな加速は、大きなトルク値を実現しているから。
車を動かす駆動は電気モーターが行うため、ガソリンエンジンのように点火から爆発、駆動というプロセスがない。
0km/hのスタート時から、一気に2.5Lエンジンと同程度のトルクをタイヤに伝える。」
ワンペダル・ドライビング
NOTEには3つの走行モードがあります。
「eco」「normal」「sport」と分かれており、シフトレバー脇のスイッチで走行中でも切り替えることができます。
NOTEについての記事を読んでいると「ワンペダル・ドライビング」と呼ばれる独特の走り方が紹介されています。
これは、ecoモードで特に使いやすい走り方なのですが、日産の代表的な先進技術とされています。
「ワンペダル・ドライビング」とは一言でいえば、アクセル操作だけで加速と減速を意のままに操る運転方法です。
オートマ車でよくある、スポーツモードでの運転とも感覚としては異なります。
ワンペダル・ドライビングでは、 アクセルを踏んで加速するのは普通の車と同じですが、違いはアクセルを緩めたときの挙動にあります。
アクセルから、ジワッとゆっくり足を離すと緩やかにブレーキがかかり、インフォメーションディスプレイでブレーキランプが点灯していることが確認できます。
また、アクセルからパッと一気に足を離すと、強くブレーキがかかります。
減速状態でそのまま走っていると、停止する手前の数km/hくらいまで減速します。
車間距離が近かったり、停止位置までに減速が間に合わないなどのときに、ようやくブレーキペダルを踏み込むことになります。
適正な速度で、ある程度の車間距離を確保して走っている状態ならば、あまりブレーキを踏むことなく、アクセル操作だけで運転できてしまいます。
「ワンペダル・ドライビング」の操作感覚に慣れると、運転が非常に楽に感じるようになります。
アクセル操作のみで速度をコントロールするため、ブレーキとアクセルを踏み間違える可能性も低くなるのではないでしょうか。
ちなみに、アクセルを離して減速するときにも、回生エネルギーが発生し、バッテリーが充電されるので燃費改善にも効果があります。
個人的にはこの「ワンペダル・ドライビング」がNOTEで最も気に入ったところです。
全装備・センサー類
NOTEにはベースグレードであっても、たくさんの安全装備が搭載されています。
正直にいえば、装備の名前を見ても機能がわからないものもあります。
運転動作の中で自動で作動するものもあるので、意識することなく使用していることも多いようです。
前方運転支援
・インテリジェント エマージェンシーブレーキ
・アダプティブLEDヘッドライトシステム
・インテリジェント DA(ふらつき警報)
・標識検知機能(進入禁止標識検知、最高速度標識検知、一時停止標識検知)
側方運転支援
・インテリジェント LI(車線逸脱防止支援システム)+LDW(車線逸脱警報)
駐車時運転支援
・インテリジェント アラウンドビューモニター(移動物 検知機能付)
・踏み間違い衝突防止アシスト
その他の運転支援
・インテリジェント ルームミラー
・NissanConnectナビゲーション
・オートブレーキホールド
・エマージェンシーストップシグナル
これらの機能の中で、駐車時支援のアラウンドビューモニターは、真上から俯瞰で車と周囲の状況が確認できるので、駐車が苦手な方には良い機能ですね。
また、踏み間違い衝突防止アシストは、コンビニなどでお店に車が突入する事故を防止するのに効果的な機能です。
個人的には、インテリジェント ルームミラーはなくてもいいかなと思いました。
理由は老眼が始まっているせいで、前方を見ていてルームミラーに目を移したときに焦点が合うまでに1秒程度の時間が必要で、素早く後方を見るとぼんやりとした像しか見えないためです。
普通の鏡のルームミラーだと、焦点合わせで苦労することはないので、少し使いにくさを感じました。
安全に配慮した支援機能は、まさに至れり尽くせりといえます。
認知力などが衰えてきた年代の方には、運転をサポートしてくれるという意味で有効な機能がたくさんあるように思えます。
ただし、どんな機能がどのように動作するのかを事前に理解していないと、いざというときにうまく利用できないことになるので、事前学習は必要だと思います。
個人的に改善してほしいところ
約一週間NOTEに乗ってみましたが、非常に良い印象を持ちました。
次に買い換えるなら、NOTEもアリだなと本気で思ったのですが、乗ってみて分かる不満な点もいくつかありました。
あくまでも「僕にとって」の不満なので、気にならないという人も多いと思いますが、参考までに紹介します。
ナビ周りのスイッチやシフトレバーの素材
NOTEのインパネ周りは一見すると落ち着きと高級感すら感じる意匠になっています。
運転席側から中央のナビまでの一体感や、光沢のあるピアノブラックのようなパネルによるところが大きいと思います。
手で触れるナビ周りのスイッチ類やシフトレバー(スイッチ?)などにも、この素材が使われているので、見た目は非常に良いのですが、指紋やホコリが目立ってしまいます。
僕が乗っていた一週間の間に、ほぼ毎日ウエットティッシュで拭いてしまうほど汚れが目につきました。
逆にウエットティッシュで拭くと、拭き跡が残る場合もあるので二度拭きしなくてはならなかったりと、なかなか悩ましいのです。
せめて手を触れる場所は指紋などが目立ちにくい素材を使ってもらえたら、日常の使用には親切なのではないかと思います。
シートの大きさと構造
NOTEの運転席のシートはコンパクトカーとしては大きめで、作りもしっかりしていると感じました。
硬めのクッションは腰や太ももなどをしっかりと支えて、運転していて不安を感じることはありません。
出来の良いシートだと思いますが、それ故にリラックスして座るという感じではなく、良い意味で緊張感を持ってシートに収まるという印象をもちました。
それは助手席も同様で、くつろいで乗るというよりは、姿勢を正して車に乗るというイメージだと思います。
車内のスペースの問題でこれ以上大きなシートは難しいかもしれませんが、クッションの構造を少しフラットにしても良いのではないかと感じました。
体にGがかかるような運転をする車ではないので、シートのホールド感は程々でも違和感がないように思います。
日産の本気を見た気がする
今回は、NOTE e-POWERを500kmほど運転してみた印象について紹介しました。
僕は自動車評論家でも、車に対して特別な知見があるわけでもなく、25年以上自家用車や会社の車を運転してきた、一般的なドライバーです。
多分に主観に満ちたインプレッションではありますが、何かの参考にしていただけたら幸いです。
一週間ほど乗ってみた正直な感想は、「乗り換えるならNOTEはアリだな」というものでした。
日産車を好んで乗っていたのは20年以上も前ですが、足回りやハンドリングの良さは、その頃も気に入っていた感覚に近いものを感じました。
また、e-POWERの加速感や静粛性、路面からのインフォメーションなど運転中に伝わってくる情報は適切で、快適性を損なうようなダイレクト感はなく、程よくチューニングされていて、運転していてストレスがほとんどありません。
紆余曲折あった日産ですが、車と本気で向き合っているのだと実感させられました。
車格からいえば、もっと細部に甘いところがあるのかと思っていましたが、しっかり作り込まれているというのが正直な感想です。
車の大きさから、5人乗車で常用するのは厳しいと思いますが、3人〜4人なら快適に普段使いできる車だと思います。
プリウスが帰ってきて感じたこと
営業車のプリウスを修理にだしてから1周間、「修理が完了した」との連絡を受けてNOTEに乗って引き取りに行きました。
久々に乗ったプリウスに懐かしさすらおぼえましたが、シートに座って最初に感じたのは「大きさ」と「余裕」でした。
ボディサイズが一回り大きいので当たり前なのですが、178cm、78kg、中肉中背の男性にとって、プリウスのシートはクッションがフラットでゆったりと座れるサイズです。
もちろんクッションがヘタリ気味なのは差し引いても、大きさに余裕があります。
それに対して、NOTEのシートは新品に近いこともあって、腰回りや太もものあたりをしっかりとホールドする感じがあります。
運転していて安心感があるのですが、座っていてくつろげる感じは持てないというのが正直な感想です。
このあたりは、車に何を求めるかという話になってくるので、一長一短あると思います。
そもそもの車格が違うので単純な比較はできませんが、仕事柄、長距離移動や社内でパソコンを使うことも多い僕のような人には、プリウスのほうが適していると思いました。
しかし、プライベートで休日にでかけたり、近所に買い物に行くなら、コンパクトでスムーズなNOTEは十分にアリだと思います。
乗り比べてみると設計思想やターゲットユーザーの違いがなんとなく分かるものですね。
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