法律の素人が 成年後見人 の申し立てをした話〜必要書類から費用まで

副業ライフスタイル

この記事を読むと分かること

・ 成年後見人 の申請の仕方が分かります
・ どんなときに 成年後見人 の申請が必要なのかが分かります
・ 成年後見人 の申請手順が分かります。
・ 成年後見人 の申請が受理されるとどうなるのかが分かります。

法律の素人が 成年後見人 の申請をすることになった

成年後見人

もう一年以上前のことになりますが、成年後見人の申請手続きをしました。
親族の中に障がいを持つ方がいて、長期的にその方の貯金などを守ってあげるにはどうするかを考えてのことでした。
当初は、専門家に依頼しようと思っていたのですが、相談した専門家の方から「少し勉強したら誰でもできる。分からないことは教えてあげる」と言われ、じゃあやってみようと思ったのが発端でした。
結果的には、一度の申請で受理され、無事に成年後見人を選任することができました。
その申請までの過程でいろいろと勉強になったことがあったので、もし、同じような境遇にある方にとって役に立てばと思い記事にしてみました。
僕自身は法律の素人なので間違いがあったりするかもしれません。
また、個人的な意見も入っているので、参考程度に読んでもらえたらと思います。

 成年後見人 とはどんな制度か

成年後見人制度とは、障がいや認知症等の疾患のため判断能力が低下した方の財産などを守るため、家庭裁判所から選任されて、財産の保護など行う人のことです。
成年後見人が選任されると、後見の対象となる方(成年被後見人)の財産は、裁判所の監督のもとで、成年後見人によって管理されます。
また、被後見人が一人で行った法律行為(契約等)は、成年後見人が取り消すことができるようになります。
被後見人は自分の財産であっても自由に使用することができなくなります。
さらに、親族や、周囲の知り合いなども、成年後見人の同意なく財産を使用することができなくなります。
つまり、判断能力が低下してしまった方の財産を、法律の保護の下に置き、侵害されないようにする制度、なのです。

 成年後見人 の申請はどんなときにするのか

それでは、成年後見人を選任しなくてはならない場合、というのはどんなときでしょうか。
たとえば、

  • 年老いた母親が認知症になり、判断能力が著しく低下してしまい、財産の管理ができなくなったとき。
  • 兄弟に知的障がいのある者がおり、親族の遺産分割協議において、判断能力がないため、印鑑を押すことができない。
  • 親が認知症で判断能力が低下し、同居の親族が財産を勝手に使用しているとき。

などがあげられます。

 成年後見人 には誰でもなれるのか

成年後見人には、親族であれば誰でもなれるのでしょうか。
法律上、成年後見人になることができない人の要件が決められています。

 成年後見人 になることができない人

成年後見人にとして選任されるのは、被後見人と関わりがあり、身辺の世話をしている親族であることが通常です。
しかし、親族であっても次のような場合は、不適格であるとされ、成年後見人になることはできません。

・独身の未成年
・家庭裁判所で親権喪失の審判を受けた者
・家庭裁判所で解任された保佐人や補助人であった者
・破産者で復権していない者
・被後見人に対して、裁判をしたことがある者、およびその配偶者、直系血族
・行方不明の者

親族以外の第三者が 成年後見人 に選ばれるケース

成年後見人には、親族が選ばれることが多いと書きました。
しかし、次のようなケースでは親族以外の第三者が選ばれることがあります。

・被後見人と、後見人の候補者、その親族などの間で、意見、利害の対立がある場合
・親族間で、誰を成年後見人にするか、意見の対立がある場合
・被後見人の財産が多額の場合
・被後見人が、不動産等、一定の事業収入がある場合
・後見人の候補者が高齢の場合

この場合に選ばれるのは、弁護士や司法書士等、法律の専門家です。
また、財産管理を行う後見人と、身辺の介護を行う後見人が複数選任されるケースもあります。

 成年後見人 の申請手順

成年後見人

成年後見人の選任には、家庭裁判所に「後見開始の審判」の申し立てを行わなくてはいけません。
この審判の申し立ては、被後見人となる方の住所地を管轄する家庭裁判所に行います。
申し立ての際に、まずしなくてはならないことは、医師に診断書を作成してもらうことと、成年後見人の候補者を立てることです。

医師の診断書

成年後見人をつけるということは、被後見人となる方の権利を制限する、ということですので、本人の判断能力が精神上の障がいにより著しく低下していることを証明しなくてはなりません。
この証明のために、医師の診断書が必要となります。
この診断書については、精神疾患や認知症などの専門医が作成する必要はなく、かかりつけの医師(内科などでも可)の作成でよいようです。
診断書の様式は家庭裁判所のHPで入手できます。
また、最高裁判所が作成した医師向けの診断書作成の手引きも公開されているので、医師に依頼する際に、一緒に渡すのがよいと思います。

後見人の候補者

次に、後見人の候補者を決めます。
裁判所に申し立てをする際の候補者となりますので、必ずその候補者が選任される、ということではありません。申し立てをする時点で、最も適切な人を候補者とするべきです。
また、適当な候補者がいない場合には、候補者なしで申し立てを行うことも可能です。

 成年後見人 選任の申し立てに必要な書類

成年後見人を選任してもらうための申し立てに必要な書類は以下のとおりです。

・後見開始の審判申立書(この書類は分量も多く作るのが一番大変です)
・成年後見人候補者の住民票(もしくは戸籍附票)
・被後見人となる方の戸籍謄本、住民票(もしくは戸籍附票)
・被後見人となる方の診断書
・被後見人となる方について、成年後見等の登記がないことの証明書(法務局で取得可能)
・被後見人となる本人の財産の目録と資料(不動産は登記事項証明書、預貯金や有価証券の場合は通帳の写し等)
・収入印紙(申立手数料+登記手数料)
・連絡用の郵便切手(家庭裁判所によって金額が異なります)

詳しくは、各地の裁判所のサイトから確認するのが確実です。
参考までに、裁判所のサイトのリンクを張っておきます。

裁判所のリンク : https://www.courts.go.jp/index.html

 成年後見人 にかかる費用

成年後見人の選任が必要になったときにかかる費用は、大きく分けて二つです。
一つは、成年後見人を選任する際の費用で、もう一つは、成年後見人への報酬です。

 成年後見人 の選任にかかる費用

成年後見人の選任時にかかる費用としては、
・戸籍謄本や診断書等の必要書類を集めるための費用
戸籍謄本は1通450円、診断書は病院により違うものの数千円~2万円程度が一般的です。
・裁判所に申し立て時に収める手数料
収入印紙と郵便切手、合計で5千円~1万円程度が必要になります。

また、申し立て手続を弁護士に依頼する場合、10~30万円程度の費用がかかりますが、手引書を見ながら作れば、素人でも間違いなく申し立てができますよ。

 成年後見人 申し立てが受理されるとどうなるのか

通常は、書類の提出と合わせ、裁判所に申し立てに行く日を予約します。
その時に、電話で
管轄の確認
診断書の内容
申立人と被後見人の関係
後見人候補者の確認
日程の調整
などの確認がされます。

また、予約の日に被後見人と一緒に家庭裁判所まで来られるか、尋ねられます。
病気、障がいなどで同行することができない場合は、申立人のみで申し立てができます。
申し立て日の3日前までに完成した書類を郵送すると、裁判所で事前に不備の確認をしてもらえます。
不備などがある場合には、事前に連絡してくれるそうです。
提出する書類は返却されないので、コピーを残しておきましょう。
申立人が遠方に住んでいたりして、裁判所に出向けない場合は、書類の郵送と電話などでの聞き取りで申し立てができます。
申し立てが受理されると、裁判所で審理がなされ、要件を満たしていれば後見などの審判をし、最も適任であると考える人を後見人等に選任します。
その後、裁判所から東京法務局に審判内容の登記が依頼され、登記が完了すると裁判所から成年後見人に登記番号の通知がされます。

僕の申し立てについては、僕が遠方に住んでいることもあり、郵送のみで行いました。
被後見人の近くにいないため、成年後見人については同じ地域の司法書士さんが選任されました。
裁判所からの連絡があった後に、成年後見人に選任された方に連絡し、挨拶をさせていただきました。

 成年後見人 の報酬

成年後見人を選任すると、その職務に対し報酬が発生します。
報酬の額は後見人からの申し立てにより、家庭裁判所が決定します。
親族が後見人となる場合は、あえて報酬の申し立てをしない場合も多いそうです。
弁護士等の専門家が後見人となっている場合は、必ず報酬が発生します。
報酬は、被後見人の財産の額や、後見人として行う職務の内容により上下し、、通常は月額2~5万円程度といわれています。

おわりに

成年後見人の申し立て、と聞くと、法律に関わることであり、また登記にかかわる事柄であるため、非常に敷居が高く思えます。
ですが、裁判所などへの相談、ネットの情報などを活用すれば、法律の素人でも間違いのない申し立てができると思います。
僕のケースでは、司法書士の方が後見人になってくれているため、後見人としての実務はすべて司法書士さんがやってくれています。
年に一度、被後見人についての報告をいただいており、僕は内容を確認するだけですが、貯金などが適正に管理されており、とても安心して過ごすことができています。
僕自身に何かあったときにも、後見人の方がいるので、被後見人のことが心配ない、というのもとても心強いものです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました