Windowsの バックアップ 機能の「落とし穴」とは
前記事「SSD換装でよみがえる【古いパソコンの活用法②】~現在のシステムを丸ごとコピーする~」では、使用中のシステムディスクを、SSDにまるごとコピーする方法を紹介しました。
いわゆる「クローン化」と呼ばれる方法ですが、使用環境が変わらず動作速度の改善が見込めるので、今のシステム構成を変えたくない方や、導入したソフトを変更したくない方に適した方法です。
記事中では、クローン化の方法について、外部の有料ソフトウェアなどを使用するのではなく、「Windowsの バックアップ 機能」を使用した方法を説明しましたが、その記事の中で「注意点」として、
クローンを作成するときに必要となるSSDの容量は、元のOSドライブが含まれるディスクのうち、「未割り当て領域以外のすべての容量以上の大きさ」が必要となる、というものです。
仮に、ハードディスクの容量が500GBだとして、Cドライブが200GBで、Dドライブが300GBでパーテーションを切ってあったとします。
そうすると、バックアップイメージは200GBで作成されますが、実際にクローン化しようとする先のSSDは500GBの空きが必要になるということです。
という記述をしました。
「必要なのはCドライブだけだから、クローンを作るドライブを指定できるようにしたらいいじゃん」と思ってしまいますが、なんとそれは「できない」のです。
仕様なので仕方がないと言ってしまえばそれまでですが、今回の記事では、この「落とし穴」の対処方法について、詳しく説明したいと思います。
大丈夫です、小さなSSDでもクローンを作る方法がありますので、紹介したいと思います。
Windowsの バックアップ 機能 とは
Windows標準のバックアップ機能 には3種類あります。
機能 | バックアップできるデータ |
バックアップ | ユーザーフォルダ (写真・デスクトップファイルなど) |
回復ドライブ | 作成時点のOSイメージのみ ※ユーザーフォルダ・データは含まない |
システムイメージ | 作成時点のディスクの全データ (OSイメージ+ユーザデータ) |
この一連の記事では、3つ目のシステムイメージを他のディスク(SSD)にコピーすることで、システムのクローンを作り、ディスクを置き換えるという作業を紹介しています。
Windowsの バックアップ 機能 の「落とし穴」の詳細
それでは「Windows標準のバックアップ機能」について、その「落とし穴」の対処方法を説明していきます。
この「落とし穴」は、簡単に言えば「今使っているディスク容量よりも小さいディスクには、システムイメージのバックアップを作ることができない」ということです。
例えば、1TBのHDDを、Cドライブは200GB、Dドライブは800GBでパーティションを切っていたとします。
クローンを作成するのは、システムであるCドライブだけなので、必要な容量は200GB程度で済むはず、と考えて、250GBのSSDを用意したとします。
そして、実際に、Windows標準のバックアップで作業をしていくと、
システムイメージを復元できませんでした。
エラーの詳細:BIOS上でアクティブに設定されているディスクが小さすぎるため、元のシステムディスクを復元できません。
ディスクをより大きいものに置き換え、復元操作を再試行してください。(0x80042407)
こんな表示があらわれ、クローン(バックアップ)を作成することはできません。
「なんでやねん、十分容量はたりとるやろ!ボケッ!」と悪態をつきたくなりますが、ここが「落とし穴」なのです。
バックアップ機能の、システムイメージ作成画面で「次のドライブのバックアップが作成されます」として「Cドライブ」が表示されるものの、実際に必要となるディスクの大きさは、OSが含まれるディスクの「未割り当て領域以外」のすべての容量、よりも大きな容量のディスクとなります。
このため、上の例の場合、そのままクローンを作ろうとすると、200GBの容量しか使わないのに、1TBもの容量が必要となってしまうのです。
この「仕様」のために、使いもしない大容量のディスクを購入するのは無駄です。
そこで、以下に対処方法を説明していきます。
【対処方法】 バックアップ元のドライブを縮小する
先程、必要なディスク容量は、「未割り当て領域以外」のすべての容量よりも大きな容量、と書きました。
具体的には、ディスクにパーテーションを切る作業で「Cドライブ:200GB」「Dドライブ:800GB」のような容量の「割り当て」をしています。
メーカー製のパソコンは、始めからパーテーションが切ってあるケースが多く、割り当てを意識することはあまりないと思いますが、実際にはOSのインストール段階でディスク容量の割り当てがなされています。
これは、WindowsであってもLinuxなど他のOSであっても考え方は同じです。
そして「割り当て」があるということは、「未割り当て」もあります。
「未割り当て領域」とは、ディスク上で「使用する」ことを指定していない領域のことです。
通常、ディスク領域はデータ保存などで使用するために全て割り当てられていますが、ユーザー側で操作することで「未割り当て領域」にすることも可能です。
「 Windows標準のバックアップ機能 」では、このディスク上の「未割り当て領域」は、「ディスク容量として認識されない」という特徴があり。
この特徴を利用し、ディスク容量を調整することで、容量の小さなディスクへのシステムイメージのバックアップを行うことができるようになります。
具体的には、「ディスク管理機能」を使い、必要のないディスク領域を「未割り当て領域」に指定することで、見かけ上のディスク容量を縮小する、ということです。
では、実際の手順を見ていきましょう。
ドライブの縮小方法
この作業は、Cドライブ以外のボリューム領域を消去することになります。
・Windowsボタンを右クリックし、「ディスクの管理」を選択
(またはコマンド入力欄に「compmgmt.msc」で実行し、「開く」→「記憶域」→【ディスクの管理】)
・管理画面で、OSの入っているディスク(通常はディスク0)上の、Cドライブ以外の割り当てられた領域(Dドライブ等システムバックアップに必要のない領域)を右クリックし、【ボリュームの削除】を選択する
この操作を行うと、選んだボリューム内のデータは削除され「未割り当て」になります。
・「未割り当て」以外のディスク領域の合計値が、用意したバックアップ用ディスクの容量よりも小さくなっていれば、バックアップを作成することができます。
・デイスク上に複数のパーテーションがある場合、合計値でSSDの容量よりも小さければ良いので、Cドライブ以外のすべてのボリュームを削除する必要はありません。
Cドライブ自体を縮小する
・「ディスクの管理」画面で、Cドライブを右クリックし、【ボリュームの縮小】を選択することで、使用していない部分を未割り当てにできます。
ディスク全体をCドライブとして使っている場合は、この操作によって未割り当て領域を確保することができます。
設定が終わったら再起動する
ディスク管理画面で「未割り当て領域」の確保ができたら、必ず再起動をします。
再起動しないと、ディスク管理で設定した内容が反映されません。
再起動ができたら、念のため「ディスク管理」画面で容量の確認をします。
「[バックアップと復元]に移動(Windows7)」から、システムイメージのバックアップを作成します。
クローンの作成手順については、「SSD 換装で復活【古いノートパソコンの活用法②】~現在のシステムを丸ごとコピーする~」の記事に詳しく書いています。
バックアップが完了した時に、「システム修復ディスク」の作成の案内が出ます。
僕はあまり必要とは思わないのですが、お好みでどうぞ。
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シンプルであるが故の融通のきかなさ
今回の「落とし穴」は、サードパーティー製のフリーソフトなどでバックアップを行う場合には、ソフト側で自動でやってくれたりするので、問題にならない部分です。
Windows10のバックアップ 機能は、シンプルで分かりやすい反面、ちょっとクセのある仕様となっています。
あまりパソコンに詳しくない方は、フリーソフトなどを使用してバックアップを行うほうが簡単だと思います。
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