Linux でつくる高音質な PCオーディオ 環境①〜システム構築の考え方〜

Linux

Linuxでつくる PCオーディオ 環境

あなたは古いパソコンをどのように使っていますか?
動作スピードが遅くなり、軽い不具合が出て、使う頻度が減って、押し入れで眠っている、ということもあると思います。
僕も同じで、使い道がなくなり、捨てるに捨てられずそのまま保管しているパソコンが何台もありました。
でも、少し調べてみると、古いパソコンにもいろいろな活用方法があることが分かります。
特に、OSをWindowsからLinuxに入れ替え、負荷を減らしてあげることで、ストレスなく使っている事例がたくさんありました。
そんな古くなったパソコンの活用法で、僕が最も心惹かれ、実際にやってみたのが PCオーディオ 専用システムの構築でした。
システムの自由度が高く、低コスト、そして何よりも「高音質」というメリットがあります。

この記事では、古いパソコンで作る、 PCオーディオ 環境について紹介します。

パソコンで オーディオ環境 を作るメリット

PCオーディオ

僕は、いわゆる「デジタルネイティブ」世代ではなく、古くはレコード、カセットテープから、CD、MD、デジタル配信と、音楽の利用環境を渡り歩いてきました。
それぞれにメリット・デメリットがありますが、家族ができて音楽のために使えるスペースが減る一方の今では、「良い音を、安価で、コンパクトに」が優先事項になっています。

パソコンを中心にしてオーディオ環境を作るメリットはたくさんあります。

・音源をパソコンに取り込むため、CDなど物理メディアが無くてもよい
・すべての音源タイトルがパソコン画面上に表示されるため探すのが楽
・ジャンル分けなどが簡単で、音源の管理がしやすい
・ハードディスク、SSDなど、容量の大きなものが一つあれば全ての音源を保存できる
・バックアップの作成が簡単にできる
・再生ソフトによる音質の変化や、操作性、音の味付けの変化などを容易に試すことできる

反面、デメリットとしては次のようなことがあります。

・ライナーノーツなどはパソコンに保存できない
・ディスクが破損すると音源も破損する
・レコード、テープなどのアナログメディアは、パソコンに取り込むときにカットされる周波数が出てくるため、すべてのデータが収録できるとはいえない
・取り込みのフォーマットによりデータの損失が発生することがある

 Linux でつくる PCオーディオ システム

PCオーディオ

古いパソコンをストレスなく動かす最良の方法はLinux OSを利用することです。
なぜなら、Windowsとは異なり、LinuxにはたくさんのOSの種類があり、高機能の重量級のOSから、ある程度機能を絞った軽量なOSもあるため、パソコンのスペックに合わせてOSを選択できるからです。
特に、音楽の再生・管理は、パソコンの負荷が比較的小さいため、スペックの低いパソコンを活用するにはうってつけといえます。

 PCオーディオ 用パソコンに必要なスペック

では、PCオーディオ用のパソコンに求められるスペックとはどのようなものでしょう。
当たり前のことですが、CPUパワーがある方が、いろんな作業を余裕をもって行うことができます。
例えば、DSDネイティブ再生や、(必要かどうかは別として)アップサンプリングなどには、結構なCPUパワーが必要になります。
しかし、CPUが高性能だと、発熱の問題が出てきます。
発熱はパソコンの大敵であり、高発熱のマシンには冷却ファンや水冷機構など、それなりのものが必要となり、その作動音が音楽再生の邪魔になることもあります。
音楽再生環境においては、必ずしも高性能なCPUを積んだパソコンが良いとはいえないのです。

僕が考える理想の音楽用パソコンは、ファンレスで作動する低発熱のそこそこ速いマシンです。
デスクトップ用のミニPCや、一部のノートパソコンなどではこの条件を満たすものがあります。
また、ある程度のスペックのパソコンでも、発熱が低いCPUが搭載された機種なら、ファンのメンテナンス、ファンの動作スピードの調整により、かなりの低騒音で作動させることが可能です。

現実的なスペックとしては、音楽再生機としてだけでなく、普段使いのパソコンとしても使用する前提で、最新機能も搭載したフル装備のLinux(Ubuntuなど)を使用するならば、インテル製CPUでは core iシリーズがほしくなります。
また、普段使いの機能も備えていながらも、ある程度軽量化されたフル装備のLinux(Linux Mint、cona Linuxなど)であれば、新しめのインテルcereronシリーズ位から、ストレスなく利用できると思います。
さらに、パソコンの機能を音楽に特化させて、MPDでシステムを作るなら、インテル atomシリーズでも、若干の操作ラグはあるものの実用上は問題なく使用できると思います。

あなたの手持ちのパソコンのスペックに合わせてシステム構築できるのも、Linuxを利用するメリットです。

 PCオーディオ システムの基本構成

オーディオ

パソコンを中心とした音楽システムの基本構成は次のようなものです。

① パソコンのオーディオ出力を利用する簡易的なシステム

パソコン → ライン出力 → アンプ → スピーカー

このシステム構成の特徴は、

  • 音源の管理、再生はパソコンで行う
  • デジタル・アナログ変換はパソコン内の機能を使う
  • ライン出力で、アンプまたはパワードスピーカーなどに出力する

メリットは、

  • パソコンのオーディオ出力を使用するため、システム構築が簡単にできる

デメリットは、

  • オーディオ出力までパソコンで行うため負荷が高い
  • 音質にこだわったシステムにはなりづらい

必要な機材は、

  • パソコン
  • Linux OS
  • 音楽再生・管理ソフト
  • CDなどの読み取りができるドライブ(パソコン内蔵のもので可)
  • ラインケーブル
  • アンプ
  • スピーカー

このシステム構成では、パソコン側の音の出口であるライン出力が、そもそも高音質化に向いていないため、「普段使い+音楽再生」という位置づけになっていくと思います。
適したLinux OSとしては、フル装備のOSが適しており、Ubuntuなどの定番OSから、Linux MintelementaryOSZorin OSkona Linuxなどがあげられます。

② USB接続で作る本格システム

パソコン→USBケーブル→USB-DAC→ラインケーブル→アンプ→スピーカー

このシステム構成の特徴は、

  • 音源の管理、再生信号出力はパソコンで行う(デジタル信号)
  • デジタル・アナログ変換は、外部のUSB-DACで行う
  • USB-DACでアナログに変換した音楽信号を、アンプ経由でスピーカーに出力する

メリットは、

  • パソコンは音源データをデジタルのまま出力するだけなので、CPUへの負荷が少ない
  • 利用できるパソコンのスペックが幅広い
  • OSや再生・管理ソフトの選択肢が多い
  • DACを自由に選べるので、好みの音質の追求ができる

デメリットは、

  • システム構築にはある程度の知識が必要
  • DACを別途購入するなど費用がかかる
  • こだわりだすとキリのない「オーディオ沼」にはまる可能性がある

必要な機材は、

  • パソコン
  • Linux OS
  • 音楽再生・管理ソフト
  • CDなどの読み取りができるドライブ(パソコン内蔵のもので可)
  • USBケーブル
  • DAC
  • ラインケーブル
  • アンプ
  • スピーカー

適したLinux OSは、

それぞれのOSの特徴については、別の記事で紹介したいと思います。


高音質化が可能な音楽再生・管理ソフト

Linux OS上で動作する、音楽再生・管理ソフトについてご紹介します。
ここであげた以外にもたくさんのソフトがありますが、ある程度知名度があって、トラブルが起きたときにネット上の情報で解決できそうなものに絞ってみます。

  • Audacious
  • DeaDBeeF
  • Clementine
  • Strawberry Music Player
  • Amarok
  • VLC
  • Exaile
  • Rhythmbox
  • Museeks
  • Quod Libet
  • Musique

僕が実際に利用してみたアプリの特徴については、以下の記事でレビューを載せています。
Linuxの 音楽アプリ を比較する【Linuxで作る高音質PCオーディオ環境⑤】
JACK 対応の再生アプリを比較する【Linuxで作るPCオーディオ環境⑦】

 オーディオ にこだわる家庭人は一度試す価値あり?

僕は以前、大型のVRDS機構やベルトドライブのCDプレーヤーから音楽データを出力して、大型のスピーカーを、大型のアンプで駆動して音楽を楽しんでいました。
広い空間を埋め尽くす音に浸っている時が、至福の瞬間でした。

ですが、家族ができたり、住宅環境が変わったりして、僕が使えるスペースは徐々に小さくなり、音楽を楽しむこと、そのものの存続を脅かされるようになってきました。
そこで苦心の末に導き出した答えが、費用をかけずにデスクトップオーディオ環境を磨き上げる、というものでした。
これは、相方から、オーディオそのものを中止させられるリスクを回避した、ということでもあり、同時にパソコンで作業をしながら良い環境で音楽を楽しめるということでもあり、今の僕にとっては理想的ともいえる環境です。
パソコンとLinuxOSを中心としたPCオーディオシステムにすることで、レコードやCDなどかさばるメディアもある程度整理することができ、「家が広くなった」と相方からも好評です。

「趣味を続けるためには、家族を納得させなくてはならない」
ですが、僕には嫁さんをねじ伏せるほどの力はありません。
理解を得て、お互いの妥協点を見出していくことが、我が家の円満の秘訣です。

同じような境遇にある方は、今回のシステム構築を一度検討してみることをおすすめします。

記事中で取り上げたOS、再生アプリなどについては、徐々に記事にしていきますので、よかったら読んでみてください。

Linuxディストリビューションを試すなら中古PCもおすすめ

Linuxにはたくさんのディストリビューションがあって、それぞれに特徴があります。
いろいろ試してみて、あなたに合ったOSが見つかると、PCを使うのも楽しくなります。
また、LinuxはWindowsに比べて動作が軽く、古いパソコンでも軽快に動作するものも多くあります。

ご自宅の古くなったパソコンを活用したり、テスト用に少し古いパソコンを安く買って試してみるのもよいでしょう。
おおまかな目安ですが、Intel製CPUであれば、第6世代以降のcore i3、第4世代以降のcore i5が積まれたパソコンであれば、Linuxディストリビューションでたくさんのことができでしょう。
このグレードのパソコンは、中古通販サイトを覗いてみると、ノートパソコンの安いものでは1万円台、高くても4万円程度で購入できるものが多くあります。
(デスクトップはもう少し幅があるようです)

店舗に行くのが面倒なあなたには、通販サイトがおすすめです。
各機種のスペック、細かな特徴まで掲載されているので、実機を見なくても安心して購入することができます。
最後に僕のおすすめの通販サイトのリンクを貼っておきます。

激安1万円〜のパソコンなら【PC WRAP】

 

 

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