Linux Mint Debian Editionとは?(プランBとしてのOS開発)

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LMDE( Linux Mint Debian Edition)5ベータ版が公開

ネットニュースを見ていたら、 Linux Mint Debianエディション5(LMDE5)のベータ版が公開されたとの記事がありました。

Linux Mintってubuntuベースじゃないの? という疑問がわきましたが、Wikipediaによれば2010年ころから開発を続けられているとのこと。

Linux Mintユーザーとしては、ベースの違うOSがあるというのは気になるところでしたので、少し調べてみました。

LMDEとはどんなOSなのか?

Linux Mint

LMDEは、Debianをベースにして開発されたLinux Mintです。

Linux Mintブログによれば、その開発目標はLinux Mintが存続し続けるための「プランB」であり、また技術演習であると述べられています。
仮にUbuntuが消滅したときにも、Linux Mintを存続させるために別のプラットフォームで並行して開発を行っている、ということだそうです。

2010年から2014年までの公開版では、GNOME、Cinnamon、MATE、KDE、Xfceの各デスクトップで提供されていましたが、2015年のLMDE2ではCinnamonとMATE、2018年のLMDE3からはCinnamonのみで提供されています。

UIや操作はUbuntu版と同じで、知らずに使っていれば違いが分からないといわれています。

LMDEの概要・必要スペック

ベース: Debian
アーキテクチャ: x86_64
デスクトップ環境: Cinnamon
パッケージ管理: dpkg (APT)
パッケージ形式: deb

CPU: (2GHzデュアルコアプロセッサ)
RAM: 2GB (4GBを推奨)
ストレージ: 20GB (100GB以上を推奨) の空き領域
ディスプレイ: XGA (1024×768)

UbuntuとDebianの違い

僕のようなライトなユーザーにとっては、Ubuntuはよく目にするメジャーなOSで全部入りの親切なLinuxというイメージですが、DebianについてはUbuntuの親みたいな曖昧なイメージしか持っていませんでした。

少し調べてみると、UbuntuとDebianはどちらもAPTパッケージングシステムを使用しており、UbuntuはDebianから派生したディストリビューションであることが分かりました。

つまりUbuntuは、Debianのアーキテクチャとインフラの上に構築されているということです。

そのためDebianとUbuntuは、同じ.DEBパッケージを使用します。

では、DebianとUbuntuとは同じものなのかといえば、いろいろな違いがあります。
大きく以下の3点があげられます。

・リリースサイクル
・必要なシステム要件
・OS開発の方向性

リリースサイクルの違い

Ubuntuのリリースは、LTSと通常のリリースがあります。
LTSとは、ロングタームサポートの略であり、長期間サポートを行うもので、期間が終了すると次に利用可能なLTSリリースにアップグレードすることが必要となっています。
またLTSとは別に、半年に一度程度のリリースもあり、新機能が随時投入されるバージョンとなります。
Ubuntuの開発スピードはLinuxのなかでも極めて早く、その組織的な運営がこのようなリリース環境を実現させているといってよいでしょう。

対してDebianのリリースは、だいたい2年おきに行われます。
安定していて堅実な構成でリリースされる傾向があります。

必要なシステム要件の違い

Ubuntuで、デスクトップエディションを選択した場合に必要となるスペックは、

CPU:Pentium4 (1GHz)
メモリ推奨:1ギガバイト
HDD空き容量:10ギガバイト

とされています。

一方Debianは、

・デスクトップなしの環境
メモリ最低:128 メガバイト
メモリ推奨:512 メガバイト
HDD空き容量:2 ギガバイト

・デスクトップありの環境
メモリ最低:256 メガバイト
メモリ推奨:1 ギガバイト
HDD空き容量:10 ギガバイト

デスクトップ環境で比較した場合、軽量と言われるDebianでもUbuntuに近いシステム要件が必要であることが分かります。

ただし、DebianはUbuntuとは異なり、インストールの時にデスクトップの有無や、ウインドウマネージャーを選ぶことができます。
そのため、ある程度は環境にあわせたシステム構成にすることができます。

開発の方向性

Ubuntuは、もちろんオープンソースであり多くの有志の献身によって成り立っていますが、技術的、金銭的な支援という面ではカノニカル社の存在を無視することはできません。
半年ごとという驚異的なリリーススピードを、多くの面から支えているのはカノニカル社であるといえます。

対してDebianは、ボランティアコミュニティで成立しています。
組織の規模は大きく、たくさんの人が参加し組織的な運営がなされているものの、Ubuntuにとってのカノニカルのような存在はありません。

LMDEの使用感について

LMDE は Linux Mint に可能な限り近いことを目指しているため、細かいところまで見比べないとその違いは分かりません。
一般のユーザーが、OSを表面的に使っていてもまったく同じものだと感じるようです。

提供されているデスクトップは Cinnamon だけなので、PCのスペックはある程度高いほうが快適に動きます。

個人的には MATE エディションを気に入っているので、おなじエディションで比較したいところですが、開発コンセプトの問題なので仕方ありません。

LMDE( Linux Mint Debian Edition)の今後

LMDE5は、2022年3月に正式リリースが予定されています。

デスクトップ環境は最新のCinnamon5.2。

DebianBullseyeベースと新しいLinux5.10 LTSカーネルの違いを除くと、LMDE5とLinuxMint20.3の間にほとんど違いはありません。

ですが、開発者の方にとっては、Ubuntu20.04よりも新しいDebian11がベースになっていることで、ロードマップが具体化しているLinux Mint21で現れる課題を先取りして「技術演習」を行うことになります。

まあ、このあたりは僕のような一般ユーザーには関係ないことですが・・・。

今回のリリースはベータ版ですが、テスト用のストレージにインストールする場合は、64bit版または32bit版の公式ライブISOイメージをダウンロードして使用することができます。

Linux Mintのサイトのリンクを貼っておきます。
https://www.linuxmint.com/edition.php?id=297

LMDEは、「もう一つのLinuxMint」としてUbuntuから独立して開発されています。
様々なリスクを考慮すれば、サブシステムの開発には大きな意味があると思います。
また、巨大化が進むUbuntuよりもシンプルなDebianをベースにすることで、軽量ディストリビューションとしての可能性を捨てないということであり、型落ちのPCを再利用したいユーザーとしては共感できる開発の方向性だと僕は思います。

Linuxディストリビューションを試すなら中古PCもおすすめ

Linuxにはたくさんのディストリビューションがあって、それぞれに特徴があります。
いろいろ試してみて、あなたに合ったOSが見つかると、PCを使うのも楽しくなります。
また、LinuxはWindowsに比べて動作が軽く、古いパソコンでも軽快に動作するものも多くあります。

ご自宅の古くなったパソコンを活用したり、テスト用に少し古いパソコンを安く買って試してみるのもよいでしょう。
おおまかな目安ですが、Intel製CPUであれば、第6世代以降のcore i3、第4世代以降のcore i5が積まれたパソコンであれば、Linuxディストリビューションでたくさんのことができでしょう。
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(デスクトップはもう少し幅があるようです)

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最後に僕のおすすめの通販サイトのリンクを2つ貼っておきます。

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