JACK 対応の音楽再生アプリを徹底比較【Linuxで作るPCオーディオ⑦】

Linux

 JACK 出力対応のオーディオアプリの比較

Linux MintをメインOSに据えてから、low latency kernel導入、JACK Audio Connection Kitの導入と、再生環境を整えてきました。
途中、PCオーディオのセッティングで避けては通れない、音楽再生アプリの検討を行いました。
前記事では、ALSA出力でのアプリの比較をしましたが、今回は JACK 出力での比較となります。
Linuxの 音楽アプリ を比較する【Linuxで作る高音質PCオーディオ環境⑤】

音楽再生アプリによる音の違い

PCオーディオのアプリは、使い勝手の良いものが一番だと思います。
でも気になるのは、アプリによる音の違いです。
前回のALSA出力での比較では、アプリによる音の違いが確かにありました。
今回は、強力なJACKサーバーのもとでの比較となります。

結論をいってしまえば、アプリによる音の違いはある、です。
ただ、どのアプリもいい音で、違いはわずか、あとは好みの問題、という印象でした。

 JACK 出力対応の音楽再生アプリ

今回比較対象にしたのは、次のアプリです。

  • Audacious
  • DeaDBeeF
  • Strawberry Music Player

いずれもJACKの出力に対応しており、音の良さを評価されているアプリです。

試聴に使った音源は前回同様のこちらです。

・Tak Matsumoto & Daniel Ho 「Wonder Blues」
・小澤征爾指揮、サイトウキネンオーケストラ「シューベルト Symphony #9 より 4楽章Finale」
・ミロシュ・サードロ「バッハ Suite for Cello Solo No.1 in G, BWV 1007 – 2. Allemande」
・Sing Like Taking 「闇に咲く花 Feat.サラ・オレイン」

いずれも「FLAC」でPCに保存したものです。

はじめにおことわりですが、感想はあくまでも僕の主観です。
個人の好みのバイアスがかかっている、と思いながら読んでいただければと思います。

Audacious

JACK

Audaciousは、軽量でシンプルな、プレイリスト型のプレイヤーです。
Linuxでは定番とも言える音楽アプリです。
音源をプレイリストとして取り込み再生を行います。
複数のプレイリストをタブとして表示して、切り替えて再生するなど多様な使い方ができます。
プレイリストのインポート・エクスポートができるなど、ユーザーライクなUIも特徴です。

豊富なプラグインが標準で装備されていて、外部から入れるものはないと言ってもいいと思います。
多くのデコーダーが装備されており、MP3などの再生も簡単にできます。

音の印象

低域から高域までフラットな出音。
各パートは実在感があり、定位もしっかりとしている。
色付けや強調するところのない、バランスの良さを感じる。
チェロソナタでは、楽器の生々しい響きを聞くことができる。
ボーカル曲では、骨格がしっかりとした空間を描き、全体のアンサンブルをバランスよく聴かせる。

DeaDBeef

JACK

DeaDBeeFは、デフォルトの状態では素っ気ないプレイリスト型アプリとして起動します。
様々なプラグインが用意されており、まるで白紙に絵を書くようにパーツを配置し、自分にあったデザイン・機能に仕上げていくタイプのアプリです。
音源管理は、公式サイトにあるプラグイン「File Browser」を使うことで、ライブラリ型としても機能します。
JACKには、標準では対応していないため、プラグインを入れて使用します。
非常に優れたアプリですが、操作に慣れるのにコツが必要です。
DeaDBeeFの導入、設定などは、こちらの記事で詳しく紹介しています。

音の印象

Audacious同様、低域から高域までフラットな出音。
パートの分離が極めて良く、ベース音の音像、広域の各楽器の輪郭など、各音の実在感がある。
音場の広さ、空気感、定位の明確さも際立ち、情報量が多いながらも聴き疲れのない音。
音源に忠実に、情報を余すところなく出力している印象。

Strawberry Music Player

JACK

往年の名アプリClementineからのフォークであるStrawberryは、標準でたくさんの機能とプラグインが用意された親切なアプリです。
ライブラリ型としても、プレイリスト型としても機能し、ネットラジオにも標準対応です。
多機能でありながら、洗練されたUIのおかげで、操作に迷うこともありません。
JACKの出力にも標準で対応しています。

音の印象

基本的に低域から高域までフラットだが、若干高域に特徴がある出音。
Audaciousに似た感じで、音の一つ一つが明確で、定位もしっかりとしている。
高域の描き方がわずかに強い印象で、各音が明確に響く。
とはいえ全体のバランスを崩すものではなく、現代的な楽曲では細部まで見通せるイメージ。

 


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メインのアプリをどれにするか

今回比較した3種類のアプリは、どれも非常に音が良いです。
その差はわずかで、細部の傾向が違うというイメージでとらえています。
どれをメインにしても問題ないと思いますが、あえてNo.1を選ぶなら「DeaDBeeF」です。
多くの楽器が鳴っているときに、音の分離が最も良いと思ったのがDeaDBeeFでした。
特に演奏に埋もれがちなアコースティックギターの音色が、たくさんの音の中でもバランスよく聞こえるというのが決め手でした。

セッティングが詰まっていないので、まだ良くなりそうな気配もしているので、しばらく使ってみたいと思います。
DeaDBeeFは上のほうにも書いたとおり、使いやすいセッティングにするのにコツがいります。
僕は、何度も失敗しては初期化を繰り返して、だんだん良いやり方がわかってきました。
こちらの記事で詳しく紹介していますが、DeaDBeeFは一度セッティングが決まると非常に使いやすいアプリになります。

 

 

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